INSIGHT
FAX・メール・Excel受注をWeb化するには?
BtoB受注システムの選び方と個別開発が向くケース
BtoBの受注をWeb化するとき、最初からすべての業務を置き換える必要はありません。現在の注文受付、商品仕様、価格・見積、承認、受注後の連携を分けて確認し、SaaSやパッケージで足りる範囲と個別開発が必要な範囲を整理することが重要です。
公開日:2026年8月20日
FAX・メール・Excel受注をWeb化するとは
受注業務のWeb化は、注文書を画面入力に置き換えることだけではありません。取引先が商品や仕様を選び、必要な情報を入力し、価格や見積条件を確認して発注できるようにし、そのデータを自社の受注処理へつなげるところまでが対象になります。
一方で、FAXやメールが残っていること自体が問題とは限りません。件数が少ない、個別相談が中心、既存運用で支障がない場合は、無理にWeb化しない判断もあります。Web化する価値があるかは「どこで確認・転記・判断が発生しているか」から考えます。
Web化の前に、現在の受注を5つに分けて確認する
注文受付
FAX・メール・Excel・PDF・電話など、注文情報がどこから届くか。
商品・仕様選択
品番だけでなく、サイズ・素材・加工・オプション等の組み合わせがあるか。
価格・見積
定価だけで決まるか、顧客別条件・数量・仕様で金額が変わるか。
承認
発注前後に取引先側・自社側の承認や確認が必要か。
受注後
基幹・在庫・製造・配送など、注文データを次にどこへ渡しているか。
この5つを分けると、「注文受付だけWeb化すればよい」「見積まで自動化したい」「受注後の転記までなくしたい」といった優先順位を決めやすくなります。
Web化できる主な範囲
- 取引先ログインと顧客ごとの表示・利用条件
- 商品・仕様・数量・オプションの選択
- 選択できない組み合わせや必須項目の制御
- 顧客別価格・数量・仕様に応じた価格計算や見積依頼
- 注文確認、承認、発注、履歴、再注文
- 基幹・在庫・顧客管理・製造等へのAPIまたはファイル連携
SaaS・パッケージと個別開発、どちらを選ぶか
SaaS・パッケージが向くケース
- ・商品・価格・受注フローが標準機能に収まる
- ・既存システムとの特殊な連携が少ない
- ・業務側をサービスの標準フローへ合わせられる
- ・独自機能より、早く運用を始めることを優先したい
個別開発が向くケース
- ・商品仕様や組み合わせ条件が複雑
- ・取引先ごとに価格・掛率・ロット等が異なる
- ・見積や承認に独自ルールがある
- ・基幹・在庫・製造等との連携が必要
- ・標準機能へ合わせると現在の強みや業務要件が失われる
どちらが優れているという話ではなく、標準化できる範囲と固有ルールの多さで判断します。個別開発でも、既存サービスや既存システムを残し、足りない部分だけを作る構成は可能です。
BtoB受注システムの個別開発を見る →「全部置き換える」必要がないケース
基幹システムや在庫管理がすでに稼働している場合、受注Web化のためにすべてを作り直す必要はありません。取引先向けの入力・選択画面と受注データの受け口だけを新しくし、既存システムへ必要な情報を渡す方法もあります。
既存システムにAPIがない場合でも、CSV等のファイル連携を含め、現在の運用をどこまで残すかを検討します。連携方法は対象システムの仕様を確認して決めます。
見積から先にWeb化する方法もある
受注全体の変更が大きい場合は、問い合わせ・仕様確認・見積の部分から着手する方法があります。入力条件から概算を出す、正式見積に必要な情報だけ先に揃えるなど、現在の業務に合わせて自動化範囲を決めます。
見積シミュレーター開発を見る →導入前に整理しておくとよい資料・ルール
- 1
現在の注文書・入力フォーマット
どの項目を取引先から受け取っているかを確認します。
- 2
商品資料・仕様表
選択肢、組み合わせ、選べない条件を確認します。
- 3
価格表・見積ルール
顧客別条件、数量、加工、例外条件と、人の判断が必要な部分を整理します。
- 4
業務フロー
注文受領後に誰が何を確認し、どのシステムへ入力しているかを確認します。
- 5
既存システムの連携仕様
API・CSV等、受注データを渡せる方法があるか確認します。
段階的にWeb化する考え方
最初から商品・価格・承認・受注・基幹連携をすべて同時に変えるのではなく、課題の大きい工程から段階的に進める方法もあります。たとえば、まず仕様入力と見積依頼をWeb化し、その運用を確認したうえで注文・基幹連携へ広げる、といった進め方です。
よくある質問
Q. FAX受注をすべて廃止しないと導入できませんか?
A. いいえ。取引先や商品によって既存手段を残し、Web受注と併用する運用も検討できます。
Q. 取引先ごとに価格が違っても対応できますか?
A. 顧客別価格や掛率等のルールを整理し、ログイン情報などに応じて出し分ける仕組みを個別設計できます。
Q. 既存の基幹システムはそのまま使えますか?
A. 連携仕様によります。APIやファイル連携など、既存システムを残す前提で接続方法を検討できます。
Q. SaaSと個別開発のどちらがよいか分かりません。
A. 現在の商品仕様・価格・受注フローを確認し、標準サービスで足りる範囲と個別対応が必要な範囲を整理して判断します。
関連記事
商品選択・完成イメージ・見積・受注を含むカスタムオーダーEC全体の考え方は、第一弾記事でまとめています。
カスタムオーダーECとは?を読む →現在の注文書・価格表から、Web化する範囲を整理します。
要件定義書がなくても構いません。今使っている注文書や商品資料をもとに、SaaSで足りる範囲、個別開発が必要な範囲、段階導入の進め方を整理します。
